踏板ふみいた)” の例文
平次は尚ほも念入りに調べましたが、中でも足場に並べた踏板ふみいたと、それを結へた繩の結び目を、幾度も見直して居ります。
銭形平次捕物控:180 罠 (旧字旧仮名) / 野村胡堂(著)
水に強いと云うかつらわたり二尺余のりぬき、鉄板てっぱんそこき、其上に踏板ふみいたを渡したもので、こんな簡易かんい贅沢ぜいたくな風呂には、北海道でなければ滅多めったに入られぬ。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
そしてかれはその港で上陸したが、それはただすぐに踏板ふみいたを渡って、ヴェニスへ出帆するばかりになって碇泊ていはくしている船の、しめったデッキを踏むためであった。
長い踏板ふみいた船縁ふなべりから岸に渡された。一番先に小さいおととが元気よくそれを渡つて、深い船の中に飛んでりた。其処そこまで送つて来た婿の機屋はたや盲目めくらのお婆さんをおぶつて続いて渡つた。
(新字旧仮名) / 田山花袋(著)
「お北お吉の居る部屋の窓の外へ這ひ上つてあんな仕掛けが出來る筈はないし、清五郎が落ちて死んだ後で、踏板ふみいたを直して置くことなどは出來ないよ」
銭形平次捕物控:180 罠 (旧字旧仮名) / 野村胡堂(著)
一枚、すぐ外れるやうに仕掛けてあつたのだよ。清五郎が其處そこから毎晩覗くのを知つて居た奴が、踏板ふみいたの繩を解いて、その上に乘つて、身體を動かすと直ぐ外れるやうに仕掛けてあつたのだ
銭形平次捕物控:180 罠 (旧字旧仮名) / 野村胡堂(著)