走寄はしりよ)” の例文
たちま何人だれ發聲おんどにや、一團いちだん水兵等すいへいらはバラ/\とわたくし周圍めぐり走寄はしりよつて『鐵車てつしや萬歳ばんざい々々々々。』とわたくし胴上どうあげをはじめた。
しかし新田進はぐに走寄はしりより、うめいている吉井を抱起だきおこして傷口をしらべた。白い上衣うわぎの胸まで、絞るほどの血だ。
廃灯台の怪鳥 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
と突いてかかった奴を袖摺そですりへ一ヵ所受けた。その時又右衛門が走寄はしりよってきたのである。血に染んだ来金道二尺七寸を片手に、六尺余りの又右衛門がかけつけたのだから小者はたまらない。
鍵屋の辻 (新字新仮名) / 直木三十五(著)
叫びながら走寄はしりよったが、然し彼女は慄然と其処そこ立竦たちすくんで了った。血! 血! 老子爵の後頭部から溢出あふれでる血が、床にべっとりとひろがっているではないか。
海浜荘の殺人 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)