赤飯こわめし)” の例文
なるほど、武蔵の木皿には、まだ赤飯こわめしが食べ残っていた。それがなくなったら行くというに違いない。伊織は、そう思い直して神妙に
宮本武蔵:07 二天の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
ことごとく、竹の皮包みの喰べ物ばかり! お煮染せち……酢の物……赤飯こわめし……醤油瓶……酒の一合瓶……沢庵包み……
仁王門 (新字新仮名) / 橘外男(著)
「こりゃしからん! 僕が赤飯こわめしのために面白がるなら、君なんぞは難有ありがたがッていいのだ。」
取舵 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
赤飯こわめし小折箱ささおりを、一つずつ持って、煮しめ蓮根はすや、芋を、指で、つまんで食いながら「御嘉酒ごかしゅ」で、赤い顔をした兵が、年暮くれの市中へ、あふれて出た。
松のや露八 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
あやまッた謝ッた。これから真面目まじめに聴く。よし、見ると赤飯こわめしだ。それはわかッた。」
取舵 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
ゆうべから、武蔵と共に、別当の観音院かんのんいんに泊っていた伊織は——食べかけていた赤飯こわめしをあわてて掻っ込んで
宮本武蔵:07 二天の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
そのいわい赤飯こわめしだ。その上に船賃ふなちんを取らんのだ。乗合のりあいもそれは目出度めでたいと言うので、いくらか包んでる者もあり、即吟そくぎんで無理に一句浮べる者もありさ。まあおもい思いにいわッてやったとおもいたまえ。
取舵 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
表口で、雇い男と老婆としよりが、明日あした赤飯こわめし泥竈へっついにかけてしていた。そこから赤いまきの火がゆらいで来る。
宮本武蔵:07 二天の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
前垂れをかぶせて持って来たのは、刺身の出前ではなかった。おじゅうにつめた赤飯こわめししめである。
梅里先生行状記 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
考えてみると、人気は、自分にあるのでなくて、自分の手にさげている赤飯こわめしらしい。
松のや露八 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
それから、膳を出して、魚松うおまつのおかみさんは、おじゅう赤飯こわめしと煮しめを置く。
梅里先生行状記 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「ははは。だから早く水をください、それから、赤飯こわめしにとりかかる」
梅里先生行状記 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
赤飯こわめしさん」
松のや露八 (新字新仮名) / 吉川英治(著)