資治やすはる)” の例文
片手をひざに垂れた時、や其の襖際に気勢けはいした資治やすはる卿の跫音あしおとの遠ざかるのが、しずかに聞えて、もとの脇廊下わきろうか其方そなたに、おごそか衣冠束帯いかんそくたいの姿が——其の頃の御館みたちさましのばれる——ふすま羽目はめから
妖魔の辻占 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
一年ひととせ、比野大納言、まだお年若としわかで、京都御名代ごみょうだいとして、日光の社参しゃさんくだられたを饗応きょうおうして、帰洛きらくを品川へ送るのに、資治やすはる卿の装束しょうぞくが、藤色ふじいろなる水干すいかんすそき、群鵆むらちどりを白く染出そめいだせる浮紋うきもん
妖魔の辻占 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)