豪胆ごうたん)” の例文
日ごろ豪胆ごうたんをもって鳴っていたが、メリー号の全身不随ぜんしんふずいとなったのを知って、今は、すっかり絶望のふちに沈んでしまったかれだった。
海底大陸 (新字新仮名) / 海野十三(著)
桂君は学校では少年相撲ずもうの選手をしているほどで、腕におぼえのある豪胆ごうたんな少年でしたから、裏通りの近道を、テクテクと歩いていきました。
少年探偵団 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
その藤十郎のはなしで、新十郎の馬を奪って逃げた豪胆ごうたんらい落な敵は、池田家の臣でなく、三好秀次みよしひでつぐの家来、土肥権右衛門どひごんえもんという者であることが分った。
新書太閤記:10 第十分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
しかしこれは豪胆にあらずして前後左右が見えぬのである。危険あるを知って豪胆に振舞うのでなく、危険あるを知らぬゆえに豪胆ごうたんらしく振舞うのである。
自警録 (新字新仮名) / 新渡戸稲造(著)
非常識にまで豪胆ごうたんであり、いかに無人の境をくような猛暴をたくましうしたかは、この、犯行の場所を選ぶ場合の彼の病的な無関心だけでも、遺憾いかんなくうかがわれよう。
女肉を料理する男 (新字新仮名) / 牧逸馬(著)
大将鯛を釣る気と見える、豪胆ごうたんなものだ。野だは、なに教頭のお手際じゃかかりますよ。それになぎですからとお世辞を云いながら、これも糸をり出して投げ入れる。
坊っちゃん (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
薄暗い階段を昇りながら、ふとあることに思い当ると、流石豪胆ごうたんな一郎も、思わずゾッとして、腰のポケットに用意していたピストルを握りしめた。
魔術師 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
豪胆ごうたんをもって鳴る「火の玉」少尉も、全く思いがけないこの不意打には、腹の底から大きなおどろきの声をあげた。
空中漂流一週間 (新字新仮名) / 海野十三(著)
さもなくては、その時、日吉が取った行動は、余りに豪胆ごうたんすぎるし、白痴はくち所作しょさというしかなかった。
新書太閤記:01 第一分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
盲者蛇をおそれぬ豪胆ごうたん
自警録 (新字新仮名) / 新渡戸稲造(著)
夕刊には、きこり松下君の写真が、大きく出ていましたが、四十歳ぐらいの、顔じゅうに、ぶしょうひげをはやした、目も鼻も口も大きい、いかにも豪胆ごうたんそうな男でした。
宇宙怪人 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
空中の怪魚の、断末魔だんまつまは、流石さすが豪胆ごうたんな帝国の飛行将校も、正視せいしするに、たえなかった。
空襲葬送曲 (新字新仮名) / 海野十三(著)
豪胆ごうたんといおうか、大気といおうか、若衆は、刹那に、わが足のつま先を以て剣の如くにし、引くべきを反対に、いきなり土佐犬の口の中へ——腹まで通れとばかり強く突ッ込んだのであった。
大岡越前 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
見ると、さすが豪胆ごうたんな壮太郎氏の顔も、いくらか青ざめて、ひたいにはうっすら汗がにじみだしています。壮一君も、ひざの上に、にぎりこぶしをかためて、歯をくいしばるようにしています。
怪人二十面相 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
鯛地は豪胆ごうたんにも尚も柳ちどりを電話機に釘止くぎどめにして置こうと努力した。
間諜座事件 (新字新仮名) / 海野十三(著)
けれど、この若者には、ひどく豪胆ごうたんな一面があるらしい。
新書太閤記:07 第七分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
まるでむかしの化けものたいじの勇士のように、豪胆ごうたんな紳士です。
透明怪人 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)