豪奢がうしや)” の例文
変へまして、清岡球江きよをかたまえ豪奢がうしやを見せるために、私はヴェランダに虎を飼ふことにしました。南洋産の猛烈な奴で、そいつが幕切れに暴れて、球江に喰ひつかうとする処を
(新字旧仮名) / 久米正雄(著)
豪奢がうしや身分者みぶんしやにとつては、たとひミユンヘンといへども決して事を欠かせるやうなことはないのである。
南京虫日記 (新字旧仮名) / 斎藤茂吉(著)
しかもあのクレオパトラは豪奢がうしやと神秘とに充ち満ちたエヂプトの最後の女王ではないか? 香の煙の立ち昇る中に、冠の珠玉でも光らせながら、蓮の花か何かもてあそんでゐれば
侏儒の言葉 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
小児こども着飾きかざらせて一人々々ひとり/\乳母を附けて芝居を見せようと云ふ豪奢がうしや性質たち、和上が何かに附けて奥方の町人気質かたぎを賎むのを親思おやおもひの奥方は、じつと辛抱して実家さとへ帰らうともせず
蓬生 (新字旧仮名) / 与謝野寛(著)
もとより内証はよし、病室は第一等、看護婦の肩に懸つて長い廊下を往つたり来たりするうちには、自然おのづ豪奢がうしやが人の目にもついて、誰が嫉妬しつとうはさするともなく、『あれ穢多ゑただ』といふことになつた。
破戒 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
華麗と豪奢がうしやとにひつつあり。
晶子詩篇全集 (新字旧仮名) / 与謝野晶子(著)
売り立ての古玩はあたひ高うして落札することあたはずといへども、古玩を愛するわが生の豪奢がうしやなるを誇るものなり。文章を作り、女人によにんを慕ひ、更に古玩をもてあそぶに至る、われあに君王くんわうの楽しみを知らざらんや。
わが家の古玩 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)