豆洋燈まめランプ)” の例文
聞分ききわけもなく織次がそのたもとにぶら下った。ながしは高い。走りもとの破れた芥箱ごみばこ上下うえしたを、ちょろちょろと鼠が走って、豆洋燈まめランプ蜘蛛くもの巣の中にぼうとある……
国貞えがく (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
次の八畳の間のあいふすま故意わざと一枚開けてあるが、豆洋燈まめランプの火はその入口いりくちまでもとどかず、中は真闇まっくら。自分の寝ている六畳の間すらすすけた天井の影暗くおおい、靄霧もやでもかかったように思われた。
酒中日記 (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
滅多に外へ出たこともないが、向うも、隣も、筋向いも、いずれ浅間で、豆洋燈まめランプの灯が一ツあれば、ふすまも、壁も、飯櫃めしびつの底まで、戸外おもてから一目に見透かされる。
黒百合 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)