讐敵しゅうてき)” の例文
人に怨恨えんこんを有し讐敵しゅうてきとなるものは、死後も同様に考え、冥土めいどに入りてそのうらみをむくい、そのあだを報ずることと信じておる。
迷信解 (新字新仮名) / 井上円了(著)
こうした自然主義の文学論が、根本に於て詩と両立できないもの、否まさしく詩の讐敵しゅうてきであり、詩的精神の虐殺者であることは言うまでもない。
詩の原理 (新字新仮名) / 萩原朔太郎(著)
優善と鉄との間に、夫婦の愛情の生ぜぬことは、もとより予期すべきであった。しかしただに愛情が生ぜざるのみではなく、二人はたちま讐敵しゅうてきとなった。
渋江抽斎 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
彼も一歩を退け我もまた一歩を退け、歩々相遠ざかりてついに異類の者のごとくなり、後には讐敵しゅうてきのごとくなりて、互いに怨望するに至ることあり。
学問のすすめ (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
讐敵しゅうてきの象徴を見たのであった。二人の教主の着物の胸に刺繍ししゅうされてあった奇怪な模様! それを彼は見たのであった。憎むべき、憎むべき憎むべき模様!
八ヶ嶽の魔神 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
若い男とささやきあうような口先で、秘密をつくるようなことはしなかった……。ただ、偶然ぐうぜんに、讐敵しゅうてきに会ったような、寅年の二人の肉体が呼びあったのだ。
河沙魚 (新字新仮名) / 林芙美子(著)
実之助の心は、了海の大勇猛心に動かされて、彼自ら刳貫の大業に讐敵しゅうてきの怨みを忘れようとしがちであった。
恩讐の彼方に (新字新仮名) / 菊池寛(著)
そしてあらゆる苦心と手引を経て、松永久秀の幕下ばっかにいる父の讐敵しゅうてき坂上主膳と出会うことができた。
剣の四君子:03 林崎甚助 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
館の老臣でありながら、木曽家にとっては讐敵しゅうてきの、高遠の管領かんりょう伊那盛常もりつねひそかに好誼よしみを通ずるさえあるに、殿を夜な夜なおびき出して、惰弱だじゃくを教える奸臣かんしんが、お館の中にあるからじゃ
蔦葛木曽棧 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
「それに貴殿には讐敵しゅうてきのはずで」
娘煙術師 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
顔を合わせた讐敵しゅうてき
娘煙術師 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)