諸色しょしき)” の例文
おまけに、諸色しょしきは高く、農業にはおくれ、女や老人任せで田畠たはたも荒れるばかり。こんなことで、どうして百姓の立つ瀬があろう。
夜明け前:01 第一部上 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
鼠の価は最初は二銭、後に諸色しょしき騰貴とうきと共に、改めて五銭と定められた。その間にしばらく割増金つき抽籤ちゅうせん券をもって、鼠を引換えた時代があった。
この一例をもってみても諸色しょしきが上がるの下がるの、米価が騰貴とうきしたために貧民ひんみんくるしむの、あるいは暴徒が起こるの
自警録 (新字新仮名) / 新渡戸稲造(著)
諸色しょしきの安い時のことであるから、一分という額は、一日分親子四人位で、どうにかやって行けたものであります。
諸色しょしきが高くなるにつれて、売惜み、買占めをする奴がある、それを制するためにお代官が建てたものだということまでは知らないが、ともかく、この市場へ入れば
大菩薩峠:32 弁信の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
そのようなる事をいたしおりてもつまりは時節が悪いなどと申し腰掛へ多分罷出で、かみへ御苦労相掛け候者これ有り。時節悪しきにてはなし、分限ぶんげんを忘るる故諸色しょしき高直こうじきに相成るなり。
吉田松陰 (新字新仮名) / 徳富蘇峰(著)
この送り荷は尾州藩の扱いで、奥筋のお泊まり宿へ送りつけるもの、その他諸色しょしきがたくさんな数に上った。
夜明け前:01 第一部上 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
当時は諸色しょしきも高くなるばかりで、人馬の役を勤めるものも生活が容易でないとある。それには馬役、歩行役、ならびに七里役(飛脚を勤めるもの)の給金を増してほしいとある。
夜明け前:02 第一部下 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
大豆だいず二両三分、酒一升二百三十二文、豆腐一丁四十二文もした。諸色しょしきがこのとおりだ。世間一統動揺して来ている中で、村民の心がそう静かにしていられるはずもなかった。
夜明け前:01 第一部上 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)