請書うけしょ)” の例文
「これも大勢たいせいでしょう。福島の本陣へは山村家の人が来ましてね、恭順を誓うという意味の請書うけしょを差し出しました。」
夜明け前:03 第二部上 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
この際如何いかような願いの筋があろうとも聞き届けることまかり成らぬ、というお達しがあって、村々からそのお請書うけしょを出させて置いての勘定役御出張なのです。
大菩薩峠:36 新月の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
それでね、下げ渡したら請書うけしょが入るから、印形いんぎょうを忘れずに持っておいでなさい。——九時までに来なくってはいかん。日本堤にほんづつみ分署ぶんしょです。——浅草警察署の管轄内かんかつないの日本堤分署です。
吾輩は猫である (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
文箱ふばこに入って参りましたから、当人の悦びは一通りでございません、先ず請書うけしょをいたし、是から急に支度にかゝり、小清潔こざっぱりした紋付の着物が無ければなりません、紋が少しちがっていても宜い
菊模様皿山奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
請書うけしょは拙者の方でいただきます、待っていましょう」
石狩川 (新字新仮名) / 本庄陸男(著)
ただし、右はおまわきんとして、その利息にて年々各宿の不足を補うように心得よともある。別に、三人は請書うけしょを出せと言わるる三通の書付をも公用人から受け取った。
夜明け前:02 第一部下 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
請書うけしょは出した。今度は帰りじたくだ。半蔵らは東片町にある山村氏の屋敷から一時旅費の融通ゆうずうをしてもらって、長い逗留とうりゅうの間に不足して来た一切の支払いを済ませることにした。
夜明け前:02 第一部下 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
とりあえず半蔵らはその請書うけしょしたため、ついでにこの地方の人民が松本辺の豊饒ほうじょうな地とも異なり深山幽谷の間に居住するもののみであることを断わり、宿場しゅくば全盛の時代を過ぎた今日となっては、茶屋
夜明け前:04 第二部下 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)