誕辰たんしん)” の例文
公爵家では、当主のヘンリク・ドラーゲ若公爵二十五回の誕辰たんしん祝賀のため、昨夜ゆうべ百七、八十名ばかりの知人を招いて夜会を催した。
グリュックスブルグ王室異聞 (新字新仮名) / 橘外男(著)
一夕いつせき、松川の誕辰たんしんなりとて奥座敷に予を招き、杯盤はいばんを排し酒肴しゆかうすゝむ、献酬けんしう数回すくわい予は酒といふ大胆者だいたんものに、幾分の力を得て積日せきじつの屈託やゝ散じぬ。
妖怪年代記 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
現代稀有の邪妖劇名女優、天川呉羽あまかわくれは嬢の保護者として有名であったが、昨三日(昭和×年八月)諾威ノルエー公使館に於ける同国皇帝誕辰たんしんの祝賀えんに個人の資格をもって列席後
二重心臓 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
六月四日 三笠宮妃殿下誕辰たんしん祝。
六百五十句 (新字新仮名) / 高浜虚子(著)
思へば好事よきことには泣くとぞふなる密閉室あかずのまの一件が、今宵誕辰たんしんの祝宴に悠々いう/\くわんつくすをねたみ、不快なる声を発してその快楽を乱せるならむか、あはれむべしと夜着よぎかぶりぬ。眼は眠れどもしんは覚めたり。
妖怪年代記 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)