ばつか)” の例文
『マ清子さん!……貴女其麽そんなに……私になら何だつて言つて下すつたつていわ。貴女ばつかりよ、私姉さんの様に思つてるのは!』
鳥影 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
『奈何もしやしないけど、面白かつたわ。そして折角祖父さんばつかり攻撃してるのよ。旧時代の思想だの何のツてね……お父さんやおつかさんの事は言へないもんだから。』
鳥影 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
皆様みなさんお上手よ。私なんか今迄余り加留多も取つた事がないもんですから、敗けてばつかり。』と嫣乎につこりする。ほつれた髪が頬に乱れてる所為せゐか、其顔が常よりも艶に見えた。
鳥影 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
亭乎すらりとした體を眞直にして玄關から上つて行くと、早出の生徒は、毎朝、控所の彼方此方から驅けて來て、恭しく渠を迎へる。中には態々渠に叩頭おじぎをするばつかりに、其處に待つてゐるのもあつた。
足跡 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
亭乎すらりとした体を真直まつすぐにして玄関から上つて行くと、早出の生徒は、毎朝、控所の彼方此方かなたこなたから駆けて来て、うやうやしく渠を迎へる。中には態々わざわざ渠に叩頭おじぎをするばつかりに、其処に待つてゐるのもあつた。
足跡 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)