計略けいりゃく)” の例文
いま考えあわせてみると、みんなお師匠さまがさきのさきまでを見ぬいた計略けいりゃくで、わざとおいらにそういわせたにちがいない
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
でも、王子は、きょうは計略けいりゃくをめぐらして、階段かいだんじゅうにチャンというべたべたするくすりをぬらせておきました。
あの法皇ほうおうをひそかに山荘に迎えた夜、清盛きよもりをたおす細密さいみつ計略けいりゃくを定めたあとで、さながらわれわれの勝利の前祝いのように、期せずして生じたあの諧謔を!
俊寛 (新字新仮名) / 倉田百三(著)
「困ったなあ。重禁錮にしない約束、くい物と酒はたっぷり竹にやってくれる約束、それなら引受けますぜ。わしゃ計略けいりゃくをもって、竹のやつを縛っちまいまさあ」
火薬船 (新字新仮名) / 海野十三(著)
りこうぶった私の計略けいりゃくは、狼王ろうおうロボのためにすっかりうらをかかれてしまったのである。
「奥さん大じょうぶですよ。先生が賊のとりこなんかになるもんですか。きっと先生には、ぼくたちの知らない、何か深い計略けいりゃくがあるのですよ。それでこんなにお帰りがおくれるんですよ。」
怪人二十面相 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
そのおとこが、計略けいりゃくをめぐらしているということを、二人ふたりみみにしました。
幸福に暮らした二人 (新字新仮名) / 小川未明(著)
「其処が計略けいりゃくだったんで」
同時に、八方から裾野すそのへくだって、時刻時刻の合図あいずとともに、遠巻とおまきのをちぢめて、ひとりあまさず討ってとる計略けいりゃく。かならずこの手はずをわすれるなよ
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
で、わたしはこのカランポーのおおかみどもも同じ習慣をもっているとにらんだのである。ロボはまたも私の計略けいりゃくを見やぶるかもしれない。けれど、私の心の中にはべつな考えがあったのである。
そこで、女王さまは、おしまいになにか一つの計略けいりゃくを考えだしました。
む、ほかではないが、こよいの計略けいりゃく呂宋兵衛るそんべえ妖術ようじゅつにやぶられ、いままた、伊那丸いなまるさまはじめ、その他の旗本はたもとたちは人穴ひとあなの殿堂さして攻めのぼっていった。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)