うか)” の例文
この場所は如何いかにも静で快濶かいかつで、如何いかな毒々しい運命の魔も身を隠して人をうかがう暗いかげのないのが僕の気に入ったからです。
運命論者 (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
京に入りてより、嘲風氏に聞き、竹風君と話して彼が性行の一端をうかがひ、逢ふて詩談を交へんとするの情あり。我仙台に入るや、招かれて一夜大町おほまちの居にこの幸福なる詩人を訪ふ。(未完)
閑天地 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
この時二階の笑声もぴたり止んで、下をうかがい聞耳をたてている様子。自分は狼狽うろたえて言葉が出ない。もじもじしていると台所口で「お待遠さま」という声がした。母は
酒中日記 (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
何もそう謝るには及びません、僕も実は貴様が先刻僕の前に佇立つったって僕ばかり見てた時の風がなんとなくあやしかったから、それで此処ここへ来て貴様あなたることをうかごうて居たのです。
運命論者 (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
「貴様は他人ひとの秘密をうかがっていと思いますか。」と彼はますます怪げな笑味えみを深くする。
運命論者 (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
お光が居れば母もとうかがったが女はお光一人、男は二人。
酒中日記 (新字新仮名) / 国木田独歩(著)