見徹みとほ)” の例文
むすめはだまつて笑つてゐたが、このときリンパー先生が、いきなりこつちを振り向いて、まるで将軍の胸底から、馬の頭も見徹みとほすやうな、するどい眼をしてしづかに云つた。
北守将軍と三人兄弟の医者 (新字旧仮名) / 宮沢賢治(著)
おもて鹽物しほものやが野郎やらうと一しよに、しゞみしてはあしおよぶだけかつまわり、野郎やらうが八せんうれば十せんあきなひひはかならずある、一つは天道てんたうさまがやつこ孝行かう/\見徹みとほしてか、なりかくなり藥代くすりだいは三がはたら
大つごもり (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
平次は何も彼も見徹みとほしてゐたのでせう。
表の塩物やが野郎と一処に、しじみを買ひ出しては足の及ぶだけ担ぎ廻り、野郎が八銭うれば十銭の商ひは必らずある、一つは天道さまがやつこの孝行を見徹みとほしてか、となりかくなり薬代は三が働き
大つごもり (新字旧仮名) / 樋口一葉(著)