見当みあて)” の例文
旧字:見當
こんもりとした森があるから、森を見当みあてに彼是れ二十町ばかりもき、又斜崖なだれくだると、森の林の内にちら/\灯火あかりが見える。
ソリャモウお前さんのこったから、いずれ先に何とか確乎たしか見当みあてが無くッてあんな事をお言いなさりゃアすまいネ
浮雲 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
草の中にのぞいたものは、一つの灯のように、誰だって、これを見当みあて辿たどりつくだろうと思うよ。
灯明之巻 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
とおろ/\しながら、惣吉は年はとおだが親孝心で発明な性質うまれつき、急いで降る中を四五町先を見当みあてにして参りました。
真景累ヶ淵 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
「イヤ何にも見当みあてが有ッてのどうのと云う訳じゃ有りませんが、ただ……」
浮雲 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
新吉もお累が死んで仕舞ったあとは、三藏から内所で金を送る事もなし、別に見当みあてがないから宿替やどがえをしようと、欲しがる人に悉皆そっくり家を譲って、時々お賤の処へしけ込みます。
真景累ヶ淵 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
鹽原と大きく書いてあるのを掛けてやりますから、見違える気遣いは有りません、多助が馬を引いて帰って来る時、桐油を見当みあてに庚申塚あたりでむちゃくちゃに斬り殺して、お屋敷に帰り
塩原多助一代記 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
駕「何処だか少しも見当みあてが付きませんが、おい/\、先刻さっき左に見えた土手の燈火あかりが、此度こんど右手こっちに見える様になった、おや/\右の方の森が左になったが、そうすると突当りが山谷の燈火か」
真景累ヶ淵 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
小平は刀ののりを死骸の着物で拭い、鞘に納め、暗夜くらやみながらぴか/\する黄金こがねの光を見当みあてに掻き集め、無茶苦茶に手拭に包んだりたもとへ入れたりして、丹治の死骸を川中へ蹴落し、又悪党でも親子の情で
塩原多助一代記 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)