“要(かか)” の例文
寒暑、乾湿、風雨、霜雪、日光の度を異にした遠い異郷の方から帰って来て、本当に自分の身体に成れたと思うまでには彼は一年の余も要(かか)った。
新生 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
新聞に在る通だけれど、不具(かたは)になるやうな事も無いさうだが、全然(すつかり)快(よ)くなるには三月(みつき)ぐらゐはどんな事をしても要(かか)るといふ話だよ。誠に気の毒な、それで、阿父(おとつ)さんも大抵な心配ぢやないの。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
格別その方には金も要(かか)らなかった。
私の経過した学生時代 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
四十日も要(かか)って来る郵便物がボツボツ届くように成ってから、岸本は戦時以来全く絶え果てた故国の消息をリモオジュの田舎に居て知る事が出来た。
新生 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
「房ちゃん達のことを思うと、種夫もよくあれまでに漕付(こぎつ)けましたよ。どの位手数の要(かか)ったものだか知れません」
家:02 (下) (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
仏国、下セエヌ州にあるというその港までは、巴里から汽車で一日要(かか)った。そこで仏蘭西の土地を離れて、彼は牧野等と共に夜の汽船で英吉利海峡を越した。
新生 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
「先方だってもあの通り遊んでいるもんですから、世話をしたいは山々なんです。なにしろ手の要(かか)る病人ですからねえ。それに物価はお高く成るばかりですし……」
家:02 (下) (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
一方には学校を控えていたから、思うように仕事も進捗(はかど)らなかった。全く教師を辞(や)めて、専心労作するとしても、猶(なお)一年程は要(かか)る。彼は既に三人の女の児の親である。
家:01 (上) (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
種々(いろいろ)な困難は、猶(なお)、私の前に横たわっていた。一方には学校を控えていたから、思うように自分の仕事も進捗(はかど)らなかった。全く教師を辞(や)めて、専心従事するとしても、猶一年程は要(かか)る。
芽生 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)