要石かなめいし)” の例文
その目的を以て田山白雲は、要石かなめいしから潮宮いたのみや高間たかまの原の鬼塚、末無川すえなしがわのいわゆる鹿島の七不思議を見て、下津おりつの浜まで来てしまいました。
大菩薩峠:28 Oceanの巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
電気単位に関する国際的会議のいきさつはここには略するが、この問題に関してレーリーの仕事が重要な要石かなめいしとなったことは明らかである。
レーリー卿(Lord Rayleigh) (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
ゆえに、その問題は宇宙の大問題でありて、鹿島の要石かなめいしと同じく、底の知れない問題である。いな、要石の底は知れても、この問題だけは知ることがむつかしい。
通俗講義 霊魂不滅論 (新字新仮名) / 井上円了(著)
茨城県鹿島かしま神社の境内に要石かなめいしという石がある。地上には丸っこい頭だけが出ているが、全部掘り出したら、多分石器時代の石棒に似た形のものではないかと想像される。
地震なまず (新字新仮名) / 武者金吉(著)
著者は階級的な社会発展とその文学理論の要石かなめいしをつよくしっかり据えようと奮闘している。
本当に貴方あなたがおっしゃいます通り、樵夫きこりがお教え申しました石は、飛騨ひだまでも末広すえひろがりの、医王の要石かなめいしと申しまして、一度踏外ふみはずしますと、それこそ路がばらばらになってしまいますよ。
薬草取 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
雪の橋は拱の頂点で三尺ほどの厚さしかなく、要石かなめいしにあたるあたりの氷がひずんで脆くなっている。亀裂の縁は踏むはしから欠け、金属的な音をたてて、底も見えぬ暗い氷の狭間はざまへ落ちて行く。
白雪姫 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
鉄格子てつごうしおよび穴を数え、支脈をきわめ、分岐点の水流を見、種々のたまりに関する区画を見て取り、主要水路に続いてる小水路を探り、各隧道すいどう要石かなめいしの下の高さ、穹窿きゅうりゅう彎曲部わんきょくぶと底部とにおける広さ
「でも石垣の上の要石かなめいしは、あの通り荒されて居ますよ」