要用いりよう)” の例文
「だれが、じょうだんを申したか、まッこのとおり、俺はほん気でいってるのだ。俺のほうでも年の暮どうしてもここが要用いりようなのだ」
梅里先生行状記 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「凧にのって金のしゃちをはがす頓狂なやつだっている。要用いりようだったら、鯨だってなんだって持って行くだろうさ。別に不思議はありゃアしない」
「そんなもんあてには要用いりようおまへん」
(新字新仮名) / 織田作之助(著)
そしていちいち部屋がしらのお手判だの、何だのと、面倒な手数も御無用、お要用いりようだけ炭倉へ取りにお越しください
新書太閤記:01 第一分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「それもございますし、小松殿におかれましても、伽藍がらんのご建立こんりゅうがあるそうで。——何かと、金沙、金泥きんでい金箔きんぱくなど、たくさんにお要用いりようでございましょうが」
源頼朝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「何がこいつだ。——人がよく眠っているのを、いきなり槍の先ッぽで小突き起して、——その上、舟が要用いりようだから、立てとは何だ。えてせろとは何だ!」
新書太閤記:01 第一分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
百姓も町人も工匠こうしょうも、流浪の心配なく自分の職業に精出せいだしていた。軍費といえばこぞって税を出した。国主からいわれない先に、彼らは、日常の物を節して、お要用いりようの時に備えていた。
新書太閤記:02 第二分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
そして、何か事情は分らぬが、せっぱにつまる金とあらば、要用いりようだけはそちにくれる
鳴門秘帖:02 江戸の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「矢立はあるが、墨つぼが乾いておる。なんぞ筆が要用いりようかの」
宮本武蔵:07 二天の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
『お要用いりようなら、私たちも手伝うて、摘んであげましょうか』
新編忠臣蔵 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「はい、どうしても、お要用いりようだというお話なので」
べんがら炬燵 (新字新仮名) / 吉川英治(著)