襖紙からかみ)” の例文
二階というのは、五六人もいる店の者の寝間にしてあった十二畳の間で、この十二畳の襖紙からかみの隅に寝そべって読む事にした。
怪談 (新字新仮名) / 平山蘆江(著)
襖紙からかみを開けて、いそいそと入って来たのは、主人の佐吉、まだ二十四、五の若々しい年輩で古渡り唐桟の袷に紺博多の帯、月代さかやきの跡青々と、しもぶくれのおっとりとした美男です。
それからすぐ本所ほんじよを出て吾妻橋あづまばしを渡つて、森下もりしたつてさがすと、いまの八軒寺町けんでらまち曹洞宗さうどうしう東陽寺とうやうじといふてらがあつた。門の所で車からりてズツと這入はいると、玄関げんくわん襖紙からかみまるに十のしるしいてゐる。
塩原多助旅日記 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)