裸裎らてい)” の例文
車夫は白い肌衣はだぎ一枚のもあれば、上半身全く裸裎らていにしているのもある。手拭てぬぐいで体をいて絞っているのを見れば、汗はざっと音を立てて地上にそそぐ。
余興 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
身にけたるは、大抵襦袢一枚のみにて、唯だ稀に短き中單チヨキを襲ねたるがまじれり。「ラツツアロオネ」といふ賤民(立坊たちんばうなどの類)の裸裎らていなるが煖きすなに身を埋めて午睡せるあり。
私はしばしばの苦しい経験の後なので、懐中電燈を用意し全くの裸裎らていになつて床にもぐつた。
南京虫日記 (新字旧仮名) / 斎藤茂吉(著)
長方形の板を載せているのが、竹片たけぎれを指して、立板に水を流すごとくにいった。「裸裎らてい淫佚いんしつで、徳を失い礼をないがしろにし、度を敗るは、禽獣きんじゅうの行いである。国には常刑じょうけいあり、ただこれを禁ずる」
不周山 (新字新仮名) / 魯迅(著)
かほばせめでたく膚かちいろなる裸裎らていの一童子の、傍に立ちてこれを看るさま、アモオルの神童に彷彿はうふつたり。人の説くを聞くに、このさかひさむさを知らず、數年前祁寒きかんと稱せられしとき、塞暑針は猶八度を指したりといふ。