衝撃ショック)” の例文
暗殺したんです。……ああ、こんな事ってあるもんだろうか。わたしは、たいへんな衝撃ショックを受けて、一時は茫然としてしまったんです
犂氏の友情 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
そこに、この老人の衝撃ショック死の原因があったのですよ。御覧のとおり、胸腺淋巴体質というやつは、衝撃には恐ろしく、鋭敏ですからな。
人魚謎お岩殺し (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
暑気と、疲労と、今の事の衝撃ショックとで早められて、リヴジー先生の預言した熱病が、明かにずんずんとひどくなっていたのだ。
軽い衝撃ショックを受けた彼はほとんど反射作用のようにうしろをふり向いた。そうしてそこにさも悪戯小僧いたずらこぞうらしく笑いながら立っている叔父の子を見出した。
明暗 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
まずこれほどに異常なる衝撃ショックとセンセーションを欧米人士に与えたものはなかったであろうとさえ、言われるくらいまでに最大なる世紀の話題トピックであったが
ウニデス潮流の彼方 (新字新仮名) / 橘外男(著)
マネットに何か衝撃ショックを与えたらしいダーネーのロンドン塔の囚人の話。リューシーとダーネーとの間に交される二三の簡短な、しかし愛人同志らしい対話。
素子が自分の女であることに衝撃ショックされたのは何とおかしくて、然し、自然なことだろう。
道標 (新字新仮名) / 宮本百合子(著)
おお! なんという恐ろしい衝撃ショックが、自らその扉をさっと開いた夫を待ち受けていたろう! 門が外側へまわったとたん、なにか白装束のものが彼の腕にがらがらと落ちかかってきたのだ。
瞬間の衝撃ショックくらうと、かえってしびれた方の腕が動いて、びんを窓から河の中へ投げ捨てたと云う面白い例が載っているぜ。
黒死館殺人事件 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
その時の友達の言葉と今の友達の境遇とを連結して考えなければならなかった津田は、突然衝撃ショックを受けた人のように、眼を開いて額から手を放した。
明暗 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
これが現在、欧米人士を戦争に次ぐの熱狂と興奮の坩堝るつぼに陥れ、全世界を異常なる衝撃ショックとセンセーションとに包み込んでいる、世紀の事件の全貌なのであった。
ウニデス潮流の彼方 (新字新仮名) / 橘外男(著)
肉体の奥ふかい全体にまだ衝撃ショックの余波がのこっていてとれない、そういう感じです。
なるほど、衝撃ショック死ですか。しかし、衝撃と云っても、貴方はその対照が、何ものであるか、御存知ないのでしょう。
人魚謎お岩殺し (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
彼の談話には気の弱い女に衝撃ショックを与えるような部分があった。津田から何にも聞いていないお延は、怖々こわごわながらついそこに釣り込まれて大切な時間を度外においた。
明暗 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
あまりにも大きな衝撃ショックの連打を受けると、昏迷の極にかえって胆が坐って、限りある人の神経はもはやどうにでもなれ! と行き着くところまで行き着いてしまうのかも知れぬ。
ウニデス潮流の彼方 (新字新仮名) / 橘外男(著)
しかしそのとき、その衝撃ショックが因でまたラターがおこった。今度は、カークのまえなので隠すこともできず、座間はその晩ねむれるどころではなかった。
人外魔境:01 有尾人 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
入口近くに座を占めたジャヴェリは豪奢ごうしゃな装いを凝らしたうら若い西洋婦人と何かしきりに問答をしていたようであったが、ちらと眼を挙げた途端、この貴婦人は思わず衝撃ショックに打たれたように
ナリン殿下への回想 (新字新仮名) / 橘外男(著)
なんの衝撃ショックか⁈ しばらく窓際まどぎわに出て風を浴びせていたほど、カムポスには異常なものだったに違いない。
人外魔境:05 水棲人 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
「なに、殺されて⁉」真斎は恐らく電撃に等しい衝撃ショックをうけたらしい。そして、思わず反射的に問い返した。「す、すると、その死体はどこにあると云うのです?」
黒死館殺人事件 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
無論あの場合僕は、まさに吸気いきを引こうとする際にのみ、激情的な言葉を符合させていったのだが、またそれと同時に、もしやと思った生理的な衝撃ショックも狙っていたのだ。
黒死館殺人事件 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
それに依るとお筆の急死は、瞬間現れた倒像に駭いての、衝撃ショック死に相違いなかった。
絶景万国博覧会 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
ところが、そうしてもぐって二、三十メートルのあたりに、どうしたことか、ふいに艇体に激烈な衝撃ショックをうけました。それなり艇体を、四十五度も傾けたまま動けなくなってしまったのです。
潜航艇「鷹の城」 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
これは、きっと肉体的な衝撃ショックよりも精神的なものだろうと、思うとともに期待のほうも強まってくる。彼はたしかに、なにか想像もできぬような異常な出来事に打衝ぶつかったにちがいない。
人外魔境:03 天母峰 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
「あり得ることです。」法水は重たげにうなずいた。「革命の衝撃ショックですよ。大戦後の性格の激変で、それがもとで起った悲劇は、かなりな数に上っていると云う話ですからね。で、その後は?」
聖アレキセイ寺院の惨劇 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)