蝋型ろうがた)” の例文
鉄鎚かなづちを二ちょう、大きな紙入の底へ、内懐へしっかりと入れて、もやもや雲の蝋型ろうがたには、鬱金うこんきれを深く掛けた上、羽織のひもをきちんと結んで、——お供を。——
鋳金はたとい蝋型ろうがたにせよ純粋美術とは云い難いが、また校長には把掖はえき誘導ゆうどう啓発けいはつ抜擢ばってき、あらゆるおんを受けているので、実はイヤだナアと思ったけれどもげて従った。
鵞鳥 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
当時牙彫げぼりがよく横浜に出て、非常に儲かったものだそうだが、父は自分は木彫を習ったのだからと言って遂にやらなかった。又その間に、鋳流しの蝋型ろうがたを作る仕事をした。
回想録 (新字新仮名) / 高村光太郎(著)
とうのむかし、お別れになって、灰神楽はいかぐら吹溜ふきたまったような、手づくねの蝋型ろうがたに指のあとの波の形のあらわれたのを、細工盤に載せたのを、半分閉じた目でじっと見まもって、ただ手は冴えても