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蕩揺
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とうよう
ふりがな文庫
“
蕩揺
(
とうよう
)” の例文
毎日
硝子戸
(
ガラスど
)
の中に
坐
(
すわ
)
っていた私は、まだ冬だ冬だと思っているうちに、春はいつしか私の心を
蕩揺
(
とうよう
)
し始めたのである。
硝子戸の中
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
しかれども彼が
沈澱
(
ちんでん
)
腐敗せる連歌を
蕩揺
(
とうよう
)
して他日一新の機を与へたる功は、俳諧史上特に書すべき価値あり、随つて彼らの
俚野
(
りや
)
なる句もまた一読せざるべからず。
古池の句の弁
(新字旧仮名)
/
正岡子規
(著)
新蔵はこの意外な吉報を聞くと同時に、喜びとも悲しみとも名状し難い、不思議な感動に
蕩揺
(
とうよう
)
されて、思わず涙を頬に落すと、そのまま眼をとざしてしまいました。
妖婆
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
「無産階級に祖国なし」げに、資本主義の波に
蕩揺
(
とうよう
)
されつゝ工場から工場へ、時に、海を越えて、何処と住居を定めぬ人々にとっては、一坪の菜園すら持たないのである。
彼等流浪す
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
しかれども信の心に
根
(
こん
)
する、深きものあり、浅きものあり。深きものは動し難く、浅きものは
揺
(
ゆら
)
し
易
(
やす
)
し。いま動し難きものにつきてこれを
蕩揺
(
とうよう
)
せば、幹折れ、枝
摧
(
くだき
)
て、その根いよいよ
蔓
(
まん
)
せん。
教門論疑問
(新字新仮名)
/
柏原孝章
(著)
▼ もっと見る
と、港いっぱいに
蕩揺
(
とうよう
)
している無数の船影のうえに、どよめきがわいた。
私本太平記:10 風花帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
其内で私は歴史的に読者の過去を
蕩揺
(
とうよう
)
する、草双紙とか、薄暗い倉とか、
古臭
(
ふるくさ
)
い
行灯
(
あんどん
)
とか、または旧幕時代から連綿とつづいている旧家とか、温泉場とかを第一に
挙
(
あ
)
げたいと思います。
木下杢太郎『唐草表紙』序
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
“蕩揺”の意味
《名詞》
揺り動かすこと。揺れ動くこと。
(出典:Wiktionary)
蕩
漢検準1級
部首:⾋
15画
揺
常用漢字
中学
部首:⼿
12画
“蕩”で始まる語句
蕩
蕩尽
蕩児
蕩々
蕩子
蕩然
蕩樂
蕩漾
蕩盡
蕩樂者