かつら)” の例文
高さ五けん以上もある壁のような石垣いしがきですから、私は驚いて止めようと思っているうちに、早くも中ほどまで来て、手近のかつらに手が届くと
春の鳥 (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
麦もあわ唐芋からいも落花生らっかせいも砂糖黍も食う。高倉はもと鼠を防ぐために、柱を高くした建物であるが、鼠はその柱に飛びついて、かつらつるのようにめぐりつつ登ってしまう。
海上の道 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
太い大黒柱や、薄暗い米倉や、かつらの這い上った練塀ねりべいや、深い井戸が私には皆なありがたかったので、下男下女が私のことを城下の旦坊様と言ってくれるのがうれしかったのでございます。
女難 (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
くれと称するひのきや杉の木の四つわりを、円周にそうた線で厚く竪にわり、それをけずってまるい形につなぎあわせ、そとからかつらや竹の輪でしめつけて、底を入れたものが今日こんにちの桶でありたるであるが
母の手毬歌 (新字新仮名) / 柳田国男(著)