落花らっか)” の例文
みるまにちょうど三、四十人、つたのかけはしみわたって、あたかも落花らっかるように、咲耶子のいる向こうのかいけてくる!
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
ひのきがある。へいがある。むこうに二階がある。乾きかけた庭に雨傘がしてある。じゃの目の黒いふち落花らっか二片ふたひらへばりついている。その他いろいろある。ことごとく無意義にある。みんな器械的である。
虞美人草 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
帆はずたずたにさけ、落花らっかのごとく雲をかすめてちった。
少年連盟 (新字新仮名) / 佐藤紅緑(著)
今日こんにち鬢糸びんし禅榻畔ぜんとうはん茶煙軽颺さえんけいよう落花らっかの風——」
巷説享保図絵 (新字新仮名) / 林不忘(著)
落花らっか地に戯れ蝶は蝶を追ひ
六百五十句 (新字新仮名) / 高浜虚子(著)
法師野ほうしのにいる呂宋兵衛るそんべえのところへかけつけようとしたが、ふと気がつくと、いまの格闘かくとうで、さっき蛾次郎がじろうからせしめた小判こばんが、あたりに山吹やまぶき落花らっかとなっているので
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
オオ落花らっかみじん、相手はふんぷんたる白点につつまれたであろうと見ると、それとはちがって、竹童の手からパッと生まれて飛んだのは、まッくろな羽に赤いうずのある鎌倉蝶々かまくらちょうちょう
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)