落椿おちつばき)” の例文
バサリと、時々ころげてくるものは、落椿おちつばきの音だった。——弦之丞はこの辺から、一節切ひとよぎりを笛袋におさめて、ややしばらくの闇を辿たどる。
鳴門秘帖:03 木曾の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
妓共をんなどもは大小こき交ぜて、吹き溜りの落椿おちつばきのやうに、廣間の隅つこに額を突き合せ、疑ひと惱みと不安とにさいなまれた眼を見張つて居りました。
門野かどのは無雑作にて行つた。代助は茶のから、座敷をとほつて書斎へ帰つた。見ると、奇麗に掃除さうじが出来てゐる。落椿おちつばき何所どこかへき出されて仕舞つた。
それから (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
鳩ふたつあさりて遊ぶ落椿おちつばき
鴎外の思い出 (新字新仮名) / 小金井喜美子(著)
落椿おちつばき道の真中に走り出し
六百句 (新字新仮名) / 高浜虚子(著)
おんなどもは大小こき交ぜて、吹き溜りの落椿おちつばきのように、広間の隅っこに額を突き合せ、疑いと悩みと不安とにさいなまれた眼を見張っておりました。
または永き日を、かつ永くするあぶのつとめを果したる後、ずいる甘き露を吸いそこねて、落椿おちつばきの下に、伏せられながら、世をかんばしく眠っているかも知れぬ。とにかく静かなものだ。
草枕 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
落椿おちつばき美し平家物語
七百五十句 (新字新仮名) / 高浜虚子(著)
落椿おちつばき何所どこかへ掃き出されてしまった。
それから (新字新仮名) / 夏目漱石(著)