)” の例文
垣根のかえでが芽をく頃だ。彼方あちらの往来で——杉林の下の薄暗い中で子供が隠れ事をしている。きゃっきゃっという声が重い頭に響く。
黄色い晩 (新字新仮名) / 小川未明(著)
実に水のほとりに植えたる樹のようなもので、だんだんと芽をき枝を生じてゆくものであると思います。
後世への最大遺物 (新字新仮名) / 内村鑑三(著)
親子の愛情と云ふものも斯う云ふ場合には未だ芽をかない。考へて見ると変なものである。
産褥の記 (新字旧仮名) / 与謝野晶子(著)
寮長は顎髯あごひげを上に向け、南画のなかの人物のやうに背中を丸くして、一心に凝視みつめてゐた。強度の近眼でよく見ようとする努力のために、今年の芽を可愛かはいいてゐる花床を知らず/\踏んでゐた。
朧夜 (新字旧仮名) / 犬養健(著)