莫逆ばくぎやく)” の例文
谷口金五郎に至つては、莫逆ばくぎやくの誓を破つて毒計をめぐらし、この小倉嘉門を殺害せる罪、千萬供養を重ぬるといへども忘るゝ由はない。
襄の交遊天下にあまねし、必しも一々之を記す能はざる也。而して其尤も莫逆ばくぎやくなるは即ち篠崎承弼の如きあり。彼は襄に推服して置かざりしなり。
頼襄を論ず (新字旧仮名) / 山路愛山(著)
巌谷いはや紹介せうかいで入社したのが江見水蔭えみすゐいんです、この人は杉浦氏すぎうらし称好塾せうこうじゆくける巌谷いはや莫逆ばくぎやくで、素志そしふのが、万巻ばんくわんの書を読まずんば、すべから千里せんりの道をくべしと、つねこのんで山川さんせん跋渉ばつせふ
硯友社の沿革 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
彼の感得せし水晶の珠数はかけて今なほ襟にあり、護身刀まもりがたなの袋の緒は常にとき右手めてに引着けたり、法華経八軸は暫らくも身辺を離れず、而して大凡悩大業獣に向ふこと莫逆ばくぎやくの朋友に対するが如し。