茶宇ちゃう)” の例文
薄小袖の紋服に茶宇ちゃうの袴は毎日の出仕の身装みなりだが、袖口から薄紅梅色の下着の端がのぞきだしているのが異様である。
鈴木主水 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
此の日は筒井和泉守様は、無釼梅鉢けんなしうめばち定紋じょうもん付いたる御召おめし御納戸おなんどの小袖に、黒の肩衣かたぎぬを着け茶宇ちゃうの袴にて小刀しょうとうを帯し、シーという制止の声と共に御出座になりまして
名人長二 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
そこにはむらさきの小袖に茶宇ちゃうの袴をつけた美少年が殊勝しゅしょうげに経巻きょうかん読誦どくじゅしている。
綺堂むかし語り (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
宇津木文之丞は生年二十七、さがふじ定紋じょうもんついた小袖に、たすきあやどり茶宇ちゃうの袴、三尺一寸の赤樫あかがしの木刀に牛皮のつば打ったるを携えて、雪のような白足袋に山気さんきを含んだ軟らかな広場の土を踏む。