花散里はなちるさと)” の例文
左大将は東北の御殿でそれ以前にすでに毎日監督する舞曲の練習をさせていたから、花散里はなちるさと夫人は試楽の見物には出て来なかった。
源氏物語:35 若菜(下) (新字新仮名) / 紫式部(著)
此の歌は源氏物語花散里はなちるさとの巻に見える光源氏の歌、———
花散里はなちるさとなどへも手紙を送るだけで、逢いには行こうとしないのであったから、かえって京に源氏のいなかったころよりも寂しく思っていた。
源氏物語:13 明石 (新字新仮名) / 紫式部(著)
則重のりしげ鼻を失う事、並びに源氏花散里はなちるさとの和歌の事
花散里はなちるさと夫人は皆の競争している中へはいることなどは無理であると、こんなことにまで遺憾なく内気さを見せて、荷葉香かようこうを一種だけ作って来た。
源氏物語:32 梅が枝 (新字新仮名) / 紫式部(著)
則重鼻を失う事、並びに源氏花散里はなちるさとの和歌の事
少しじみな所ではあるが東北の花散里はなちるさとの住居の中の西の対は図書室になっているのを、書物をほかへ移してそこへ住ませようという考えになった。
源氏物語:22 玉鬘 (新字新仮名) / 紫式部(著)
東の院でも仕事を分担して助けていた。花散里はなちるさと夫人と紫の女王にょおうとは同情を互いに持って美しい交際をしているのである。
源氏物語:21 乙女 (新字新仮名) / 紫式部(著)
花散里はなちるさとも悲しい心を書き送って来た。どれにも個性が見えて、恋人の手紙は源氏を慰めぬものもないが、また物思いの催されるたねともなるのである。
源氏物語:12 須磨 (新字新仮名) / 紫式部(著)
月の光がちょうど花散里はなちるさとの袖の上にさしているのである。「宿る月さへるる顔なる」という歌のようであった。
源氏物語:12 須磨 (新字新仮名) / 紫式部(著)
薄いお納戸色に海草貝類が模様になった、織り方にたいした技巧の跡は見えながらも、見た目の感じの派手はででない物に濃い紅の掻練を添えたのが花散里はなちるさと
源氏物語:22 玉鬘 (新字新仮名) / 紫式部(著)
明石の君の山荘に比べて近いことは花散里はなちるさとの強味になって、源氏は閑暇ひまな時を見計らってよくここへ来ていた。夜をこちらで泊まっていくようなことはない。
源氏物語:19 薄雲 (新字新仮名) / 紫式部(著)
みかどはこの右大将を表面の主催者として院の四十の賀の最後の宴を北東の町の花散里はなちるさと夫人の住居すまいに設けられた。
源氏物語:34 若菜(上) (新字新仮名) / 紫式部(著)
いつの間にこの大部の経巻等を夫人が仕度したくしたかと参列者は皆驚いた。長い年月を使った夫人の志に敬服したのである。花散里はなちるさと夫人、明石あかし夫人なども来会した。
源氏物語:41 御法 (新字新仮名) / 紫式部(著)
四月ごろに花散里はなちるさとを訪ねて見たくなって夫人の了解を得てから源氏は二条の院を出た。幾日か続いた雨の残り雨らしいものが降ってやんだあとで月が出てきた。
源氏物語:15 蓬生 (新字新仮名) / 紫式部(著)
深い山里の朝露は冷たかった。夫人がこの濡れ姿を見とがめることを恐れて大将は家へは帰らずに六条院の東の花散里はなちるさと夫人の住居すまいへ行った。まだ朝霧は晴れなかった。
源氏物語:39 夕霧一 (新字新仮名) / 紫式部(著)
花散里はなちるさと夫人は紫夫人も明石夫人も御孫宮がたのお世話に没頭しているのがうらやましくて、左大将の典侍ないしのすけに生ませた若君を懇望して手もとへ迎えたのを愛して育てていた。
源氏物語:35 若菜(下) (新字新仮名) / 紫式部(著)
風がみ抜いている間、広い六条院は大臣の住居すまい辺はおおぜいの人が詰めているであろうが、東の町などは人少なで花散里はなちるさと夫人は心細く思ったことであろうと中将は驚いて
源氏物語:28 野分 (新字新仮名) / 紫式部(著)
しかも精神的には永久に離れまいと誓い合う愛人どうしである。几帳きちょうを隔てて花散里はなちるさとはすわっていたが、源氏がそれを手で押しやると、また花散里はそうするままになっていた。
源氏物語:23 初音 (新字新仮名) / 紫式部(著)
人柄の深さ浅さはそれだけで判断されることでもないが、落ち着いたなつかしい気持ちの人であることだけは認められて、花散里はなちるさとからも、紫の女王からも玉鬘は好意を持たれた。
源氏物語:24 胡蝶 (新字新仮名) / 紫式部(著)
こんなふうに紫の女王にょおう機嫌きげんを取ることにばかり追われて、花散里はなちるさとたずねる夜も源氏の作られないのは女のためにかわいそうなことである。このごろは公務も忙しい源氏であった。
源氏物語:14 澪標 (新字新仮名) / 紫式部(著)
三女と二男は六条院の花散里はなちるさと夫人が手もとへ引き取って世話をしていた。その子供たちは院も始終御覧になって愛しておいでになった。それはまったく理想的にいっているわけである。
源氏物語:40 夕霧二 (新字新仮名) / 紫式部(著)
東の院が美々しく落成したので、花散里はなちるさとといわれていた夫人を源氏は移らせた。
源氏物語:18 松風 (新字新仮名) / 紫式部(著)
六条院がおいでにならぬようになってから、夫人がたは皆泣く泣くそれぞれの家へ移ってしまったのであって、花散里はなちるさとといわれた夫人は遺産として与えられた東の院へ行ったのであった。
源氏物語:44 匂宮 (新字新仮名) / 紫式部(著)
賀の席上で奉る院のお服類をはじめとして当日用の仕度したくはすべて紫夫人の手でととのえられているのであったが、花散里はなちるさと夫人や、明石あかし夫人なども分担したいと言い出して手つだいをした。
源氏物語:34 若菜(上) (新字新仮名) / 紫式部(著)
二条の院の東に隣ったやしきは院の御遺産で源氏の所有になっているのをこのごろ源氏は新しく改築させていた。花散里はなちるさとなどという恋人たちを住ませるための設計をして造られているのである。
源氏物語:14 澪標 (新字新仮名) / 紫式部(著)
花散里はなちるさとの所へそこからすぐに源氏は行った。今朝けさはだ寒さに促されたように、年を取った女房たちが裁ち物などを夫人の座敷でしていた。細櫃ほそびつの上で真綿をひろげている若い女房もあった。
源氏物語:28 野分 (新字新仮名) / 紫式部(著)
東の院の花散里はなちるさと夫人は、舞い姫の宮中へはいる夜の、付き添いの女房たちの装束を引き受けて手もとで作らせていた。二条の院では全体にわたっての一通りの衣裳が作られているのである。
源氏物語:21 乙女 (新字新仮名) / 紫式部(著)
花散里はなちるさとの君も、源氏の通って来ることは少なくても、一家の生活は全部源氏の保護があってできているのであるから、この変動の前に心をいためているのはもっともなことと言わねばならない。
源氏物語:12 須磨 (新字新仮名) / 紫式部(著)
源氏は同じ東の院の花散里はなちるさと夫人に、母としての若君の世話を頼んだ。
源氏物語:21 乙女 (新字新仮名) / 紫式部(著)
源氏の姫君の太子の宮へはいることはこの二十日はつか過ぎと日が決定した。姫君のために紫夫人は上賀茂かみがもやしろ参詣さんけいするのであったが、いつものように院内の夫人を誘ってみた。花散里はなちるさと明石あかしなどである。
源氏物語:33 藤のうら葉 (新字新仮名) / 紫式部(著)
花散里はなちるさとのためには宰相中将がいるからよいとそれも安心していた。
源氏物語:33 藤のうら葉 (新字新仮名) / 紫式部(著)
夏の更衣ころもがえ花散里はなちるさと夫人からお召し物が奉られた。
源氏物語:42 まぼろし (新字新仮名) / 紫式部(著)
源氏は花散里はなちるさと夫人の所へも寄った。
源氏物語:25 蛍 (新字新仮名) / 紫式部(著)
花散里はなちるさと夫人が
源氏物語:40 夕霧二 (新字新仮名) / 紫式部(著)