艸木くさき)” の例文
「水も艸木くさきも、虫も土も、空も太陽も、みんな我々蛙の為にある。では、蛇はどうしたのだ。蛇も我々の為にあるのか。」
(新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
地気は冷際れいさいかぎりとして熱際ねつさいいたらず、冷温れいをんの二だんは地をる事甚だとほからず。富士山は温際をんさいこえ冷際れいさいにちかきゆゑ、絶頂ぜつてう温気あたゝかなるきつうぜざるゆゑ艸木くさきしやうぜず。夏もさむ雷鳴かみなり暴雨ゆふだち温際をんさいの下に見る。
すでに水も艸木くさきも、虫も土も空も太陽も、皆我々蛙の為にある。森羅万象しんらばんしやうことごとく我々の為にあると云ふ事実は、最早もはや何等なんらうたがひをもれる余地がない。
(新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
「土は何の為にあるか。艸木くさきを生やす為にあるのである。では、艸木は何の為にあるか。我々蛙に影を与へる為にあるのである。従つて、全大地は我々蛙の為にあるのではないか。」
(新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)