致命傷ちめいしょう)” の例文
すごい勢いでまわりに飛び散った艇の破片はへんによって、不幸にも漂流器をこわされ、あるいは身体に致命傷ちめいしょうをうけた人びとだった。
怪星ガン (新字新仮名) / 海野十三(著)
彼は名のあるピアニストだから、右手首がなくなったことは致命傷ちめいしょうであった。犯人は彼の名声をねたむ同業者かもしれない。
(新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
男のからだには致命傷ちめいしょうとも見るべき傷のあとは認められなかった。刃物で傷つけたような跡もなかった。絞め殺したようなあとも見えなかった。
半七捕物帳:28 雪達磨 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
猛烈な、——およそこの地球を荘厳にすべき、猛烈な何物も知らずにいるんだ。そこに彼等の致命傷ちめいしょうもあれば、彼等の害毒もひそんでいると思う。
一夕話 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
そして、自分に致命傷ちめいしょうの危険がなければ人が何をしようと、どんなに威張ろうと、朝鮮へ遠征しようと、親類の小田原を亡ぼそうと、われかんせずでいる人だ。
家康 (新字新仮名) / 坂口安吾(著)
致命傷ちめいしょうにはなるまいが、怨敵おんてき梅雪ばいせつへは、たしかに一太刀ひとたち手ごたえをくれてあるから、このうえはどうかして、一ぽうの血路をひらき、伊那丸君いなまるぎみをすくいだそうと民部は心にあせった。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
ぼろを着た貧しい小さな男の子がひとり、年上の人たちのあいだで勇敢ゆうかんに戦っていました。しかしそのうちに、あちこちを銃剣じゅうけんでつかれて致命傷ちめいしょうを受け、とうとう床の上にたおれました。
そこで警部の注意力は、もっぱらチャン老人の致命傷ちめいしょうと彼の死んでいた場所とその身体の恰好かっこうにそそがれた。
少年探偵長 (新字新仮名) / 海野十三(著)
彼は用意の吹矢を取り出すなり、ねらちに彼女の咽喉のど射放いはなった。果して、あの致命傷ちめいしょうであったのだ。
電気風呂の怪死事件 (新字新仮名) / 海野十三(著)
お三根は、左の頸動脈けいどうみゃくを切られたのが致命傷ちめいしょうであることがわかった。
金属人間 (新字新仮名) / 海野十三(著)
見ろ。こんどというこんどは、陰謀屋いんぼうやの机博士に致命傷ちめいしょう
少年探偵長 (新字新仮名) / 海野十三(著)
二重にじゅう致命傷ちめいしょう
恐怖の口笛 (新字新仮名) / 海野十三(著)