能事よきこと)” の例文
我為せる事に能事よきことあるとても誇る心なく、亦悪事ありて人にいはるゝ迚も争はずして早く過を改め、重て人に謂れざる様に我身を慎み、又人に侮れても腹立憤ることなく、能くこらえて物をおそれつつしむべし。
女大学評論 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
まは歩行あるきけるに斯る惡黨あくたううんの向事ありしにや三度に二度は必らずかちて少しく懷中ふところあたゝまりしかば彌々いよ/\能事よきことに思ひ追々大賭場おほとばへも立入博奕ばくちの仲間に入たりけり然るに六月すゑより七月へかけて四五度つゞけて打負うちまけしより又々大いに困窮こんきうなし一時勝たるせつこしらへし夫婦の衣類いるゐは申に及ばず家財かざい道具だうぐ
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
全くに暮果くれはてたり然ども宵月の時分なれば少しもたゆまず何處迄もと追行ども更に駕籠の見えざるのみかとはんと思ふ人にもたえて逢ざれば若此儘尋ね得ずばお花は如何に成やらんと案事あんじる程猶胸安からず暫しも猶豫いうよならざれば足に任せて追程に何時いつしか廣き野中へ出みち幾筋いくすぢとなく有ければ何に行て能事よきことかと定め兼四方を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)