胸算きょうさん)” の例文
そのこれを給するや公共のめにも私の為めにも近く実利益を期するがごと胸算きょうさんにては、本来の目的に齟齬そごするものなり。
人生の楽事 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
羅馬ろま法王に対し罪の懺悔を呈し、ついに仏王として承認せらるるに至れり、彼の譲退は彼の胸算きょうさんに違わざる結果を生じ、彼の王位は強固となり、国内平穏に帰し民みなけり
基督信徒のなぐさめ (新字新仮名) / 内村鑑三(著)
故に事物によりてはただちに生命に関するものあり、しかも滞在半年余の長日月ちょうじつげつを要する胸算きょうさんなりしがゆえに、すこぶる注意周到なる準備をすにあらざれば、べきにあら
燕王の大事を挙ぐるも、けだ胸算きょうさんあるなり。
運命 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
学業を勤むるにも、これを勤めてその行く先は、所得の芸能を人事のいずれの辺に活用して如何なる生計を営むべしと、おおよそその胸算きょうさんを立つることも難からず。
今から推察すれば父の胸算きょうさんに、福澤の家は総領に相続させるつもりでよろしい、所が子供の五人目に私が生れた、その生れた時は大きなせた骨太ほねぶとな子で、産婆さんばの申すに
福翁自伝:02 福翁自伝 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
事情探索の胸算れは扨置さておき私の欧羅巴ヨーロッパ巡回中の胸算きょうさんは、およ書籍しょじゃく上で調べられる事は日本に居ても原書をよんわからぬ処は字引じびきを引て調べさえすれば分らぬ事はないが
福翁自伝:02 福翁自伝 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
との胸算きょうさんにてありしが、さて今日にいたりて実際の模様を見るに、教育はなかなかよく行きとどきて字を知る者も多く、一芸一能に達したる専門の学者も少なからずして
慶応義塾学生諸氏に告ぐ (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
大名が東海道を通行して宿駅しゅくえきの本陣に止宿するくらい胸算きょうさんに違いない。
福翁自伝:02 福翁自伝 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)