背皮せがわ)” の例文
一方四名の部下の連中は本箱から図書を一冊ずつ引っ張り出してページを一枚二枚探り開け、はては背皮せがわまで突ついて見ておる。
水晶の栓 (新字新仮名) / モーリス・ルブラン(著)
宗近君は机の上にあるレオパルジを無意味に取って、背皮せがわたてに、勾配こうばいのついたけやきの角でとんとんと軽くたたきながら、少し沈吟ちんぎんていであったが、やがて
虞美人草 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
まだほの暗い、藍鼠の背皮せがわ、その背皮は懸崖だ。
フレップ・トリップ (新字新仮名) / 北原白秋(著)
書斎には洋机テーブル椅子いすほかに、沢山の書物が美しい背皮せがわを並べて、硝子越ガラスごし電燈でんとうの光で照らされていた。
こころ (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
洋書というものは唐本とうほんや和書よりも装飾的な背皮せがわに学問と芸術の派出はでやかさをしのばせるのが常であるのに、この部屋は余の眼を射る何物をも蔵していなかった。ただ大きな机があった。
ケーベル先生 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)