“聾者(つんぼ)” の例文
憚(はばか)りながら妾はね、まだ立派な生娘(きむすめ)さ、聾者(つんぼ)のお六って聞いてごらん、神代原から萩原かけ、知らない人はありゃあしないよ。
任侠二刀流 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
お……お……お勢、あれ程呼ぶのがお前には聞えなかッたかエ、聾者(つんぼ)じゃアあるまいし、人(しと)が呼んだら好加減に返事を
浮雲 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
くみは血行の変動のためであったか、重聴(じゅうちょう)になった。その時牧がくみの事を度々(たびたび)聾者(つんぼ)と呼んだのを、六歳になった栄次郎が聞き咎(とが)めて、後(のち)までも忘れずにいた。
渋江抽斎 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
つい妙なぐあいに自分ばかりその油御用の議題(こと)に引っかかってなんどき経っても一つことを繰り返しているので、近藤相模守には、ああして聾者(つんぼ)の真似(まね)をされるし、今また
魔像:新版大岡政談 (新字新仮名) / 林不忘(著)
あらわしたってんでな、その季節になると世界じゅうから信者が集まって来るんだとよ、そうして躄(いざり)も立つし、腰の萎(な)えた人間も立つんだとさ、めくらも聾者(つんぼ)もみんな治っちまうっていうことだ
おごそかな渇き (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
そのくせ、聾者(つんぼ)がいても、ミサを二度繰り返してくれない。ぐるっとまわらしてごらん。正面から見ると、今日(きょう)おろしたばかりの上着にもう汚点(しみ)をくっつけ、後(うし)ろから見ると、ズボンが破けてる。
にんじん (新字新仮名) / ジュール・ルナール(著)
金持ちの質屋の若旦那、ようござんすわねえ、そういう人も。……でも、こんなのは厭ですよ、お菰(こも)に、三助に、下足番に、聾者(つんぼ)に、盲目(めくら)に、吝嗇漢(しわんぼ)に。……
任侠二刀流 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
今日はようこそお立ち寄り、むさくるしい所でごぜえますが、マアどうぞちょっとお上がんなすって、オイお六や座布団を! と云ってもお前は聾者(つんぼ)だったね。アッ、それに座布団もない。
任侠二刀流 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
、疑わなければならないようだ。あれだけの人数がはいり込んだのだ。人声のしないはずがない。それだのに人声がしないばかりか、咳(しわぶき)の声さえ聞こえない。……聾者(つんぼ)になったのではあるまいかな?
娘煙術師 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
と云うのはそうやって働いている、大勢の人間の一人一人が、片耳であったり片足であったり、てんぼうであったり盲目(めくら)であったり、唖者(おし)であったり聾者(つんぼ)であったり、満足な人間はないからであった。
神秘昆虫館 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
「アッハッハッ、聾者(つんぼ)なのか」
血煙天明陣 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)