羽田はねだ)” の例文
前にして遠く房總ばうそうの山々をのぞみ南は羽田はねだみさき海上かいじやう突出つきいだし北は芝浦しばうらより淺草の堂塔迄だうたふまではるかに見渡し凡そ妓樓あそびやあるにして此絶景ぜつけい
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
現代で羽田はねだというと直ぐと稲荷いなりを説き、蒲田かまたから電車で六七分の間に行かれるけれど、天保時代にはとてもそう行かなかった。
悪因縁の怨 (新字新仮名) / 江見水蔭(著)
小林君がニコラ博士にとらえられてから一週間ほどのち、明智探偵は北海道の事件をしゅびよく解決して、その日の午後、羽田はねだ空港につきました。
超人ニコラ (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
あなごもいろいろ種類があって、羽田はねだ、大森に産する本場ものでなくては美味うまくない。これも茶漬ちゃづけにするには、その焼き方を関西風にならうがいい。
鱧・穴子・鰻の茶漬け (新字新仮名) / 北大路魯山人(著)
かれらは母と娘であるらしく、母は御新造さまと呼ばれる女よりも二つ三つも年下かと思われる年配で、大森か羽田はねだあたりの漁師の女房とでもいいそうな風俗であった。
(新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
又其の上に海の方——羽田はねだあたりからも隅田川へ入り込んで来て、鰻を捕って居るやつもある。
夜の隅田川 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
全艦隊は小柴沖こしばおきから羽田はねだ沖まで進み、はるかに江戸の市街を望み見るところまでも乗り入れて、それから退帆たいはんのおりに、万一国書を受けつけないなら非常手段に訴えるという言葉を残した。
夜明け前:01 第一部上 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
夕方永代えいたいの橋から見ると羽田はねだの沖に血の色の入道雲が立っているがあれこそ国難のしるしであろう——流言蜚語ひご豆州ずしゅう神奈川あたりの人は江戸へ逃げ込むし、気の早い江戸の町人は在方を指して
つづれ烏羽玉 (新字新仮名) / 林不忘(著)
さて、その壮一君が、羽田はねだ空港へつくという日の早朝のことです。
怪人二十面相 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)