美代みよ)” の例文
美代みよちゃんは今学校の連中と小田原おだわらへ行っているんだがね、僕はこのあいだ何気なにげなしに美代ちゃんの日記を読んで見たんだ。……」
(新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
旦「松源てえば彼処あすこで五六たび呼んだしめだのおいとだのと云うい芸者のうちで、年若の何とか云ったッけ、美代みよちゃんかえ」
松と藤芸妓の替紋 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
母親は亡かったけれど、兄に美代みよという妻があって、家事はすべてあによめに任されていたから、菊枝は自分のことを始末すればほかに用はなかった。
日本婦道記:不断草 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
掛け取りに来た車屋のばあさんに頼んで、なんでもよいからと桂庵けいあんから連れて来てもらったのが美代みよという女であった。
どんぐり (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
「どうかして、はやく、美代みよ病気びょうきをなおしたいものだ。」と、おばあさんは、このときもおもっていました。
千代紙の春 (新字新仮名) / 小川未明(著)
お仙はふたたび寝床へもぐりこんだ、チビ公と母のお美代みよは床へはいったがなかなか眠れない。
ああ玉杯に花うけて (新字新仮名) / 佐藤紅緑(著)
「ちえッ、おっかねえことまで見ぬいてしまうだんなだな。してみるてえと、おれが隣のお美代みよ坊に去年から夢中になっていることも、もうねたがあがっているんかな——」
武夫と一緒に歩いていたお美代みよは、怪訝けげんな顔をして武夫の方にすり寄った。
地球盗難 (新字新仮名) / 海野十三(著)
いやな美代みよちやんだよ。そんなもの、今頃からくつつけてどうすんの。
「おい、美代みよ公。元気を出せよ」
動かぬ鯨群 (新字新仮名) / 大阪圭吉(著)
「はい。美代みよと申します」
巷説享保図絵 (新字新仮名) / 林不忘(著)