置所おきどころ)” の例文
受け出し長庵方に差置さしおいて折々通ひたのしまば此上もなき安心成りと思ふも若氣わかげ無分別むふんべつまよふ心の置所おきどころつゆの命と氣も付かず不※ふと惡心あくしんや發しけんひそかにたなの有金の内を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
と、贈ってくれる者もあるし、わざわざ鎖帷子くさりかたびらを届けてくれる者だの、また、台所へは、大きなたい酒菰さかごもが何処からか運ばれて来るし、巌流は身の置所おきどころもなかった。
宮本武蔵:08 円明の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
コレお半、ここは三条愛宕道あたごみち、露の命の置所おきどころ、草葉の上と思へども、義理にしがらむこの世から、やいばでも死なれぬ故、淵川へ身を沈めるがせめても言訳いひわけ、あとに残せしわが書置、さぞ今頃は女房が……
大菩薩峠:38 農奴の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
其れは置所おきどころを忘れて見附からなかつた。
巴里より (新字旧仮名) / 与謝野寛与謝野晶子(著)