納言なごん)” の例文
高松殿腹の長家の筋は摂関大臣に登る家柄にはなれないで、普通には大中納言なごんに止まる家柄であった。
中世の文学伝統 (新字新仮名) / 風巻景次郎(著)
憎い事、恋の手習するとは知れど、式部の藤より紫濃く、納言なごんの花よりくれない淡き、青柳町の薄紅梅うすこうばい
式部小路 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
いずれもこの日は大紋風折烏帽子かざおりえぼしの式服に威儀を正して、お乗り物は一様に長柄のお駕籠かご、これらのものものしい大小名が規定どおりの供人に警固されて、三、中将、納言なごん
自身ながらもこうした窮屈な考え方に反感を持つこともあったが、宰相中将は六位であったことをそしった雲井の雁の乳母めのとたちに対して納言なごんの地位に上ることが先決問題だと信じていた。
源氏物語:32 梅が枝 (新字新仮名) / 紫式部(著)
心の狭い一部の納言なごん沙門しゃもんたちが、そのあとになって、青蓮院の僧正こそは、世をあざむく似非えせ法師じゃ、なぜなれば、なるほど、松を時雨しぐれの歌は、秀逸にはちがいないが、恋はおろか
親鸞 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
天正の式部しきぶになれ、現代の新しい納言なごんになれ、などとはいかにもこの少女のよろこびそうな煽動せんどうだが、いくさの出先の路傍ろぼうで拾った一少女にも、すぐそんな同情と励みを約して連れ帰るなどは
新書太閤記:11 第十一分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)