筋向すじむこ)” の例文
「は、は、はア!」筋向すじむこうに座を占めてこちらを見詰めていた男がまた笑った。
猫八 (新字新仮名) / 岩野泡鳴(著)
己の奉公して居る池田屋の店の筋向すじむこうに、「宝商会たからしょうかい」と云う蓄音器屋ちくおんきやがある。
小僧の夢 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
床店とこみせ筋向すじむこうが、やはりその荒物店あらものみせでありますところ戸外おもてへは水を打って、のき提灯ちょうちんにはまだ火をともさぬ、溝石みぞいしから往来へ縁台えんだいまたがせて、差向さしむかいに将棊しょうぎっています。はし附木つけぎ、おさだまりの奴で。
春昼 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)