笑味えみ)” の例文
自分勝手な空想を描きながら急いでってみると、村長は最早もう座に居て酒が初まっていた。梅子は例の如く笑味えみを含んで老父の酌をしている。
富岡先生 (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
とまではすこぶる真面目であったが、自分でも少し可笑おかしくなって来たか急に調子を変え、声を低うし笑味えみを含ませて
牛肉と馬鈴薯 (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
「何だと親を捕えて泥棒呼わりは聞き捨てになりませんぞ」と来るところを取って押え、片頬かたほお笑味えみを見せて
酒中日記 (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
しかぐ思い返してそのまゝ横になって居ると、彼は間もなく自分のそばまで来て、あやしげな笑味えみを浮べながら
運命論者 (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
衆皆みんなは唯だ黙って岡本の顔を見ていたが松木と竹内は真面目まじめで、綿貫と井山と上村は笑味えみを含んで。
牛肉と馬鈴薯 (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
客の少女はそっと室内を見廻した。そして何か思い当ることでも有るらしく今まで少し心配そうな顔が急に爽々さえ/″\して満面の笑味えみを隠し得なかったか、ちょッとあらたまって
二少女 (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
「貴様は他人ひとの秘密をうかがっていと思いますか。」と彼はますます怪げな笑味えみを深くする。
運命論者 (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
「けれども自殺は人々の自由でしょう。」と彼は笑味えみを含んで言った。
運命論者 (新字新仮名) / 国木田独歩(著)