稲塚いなづか)” の例文
横手の衝立ついたて稲塚いなづかで、火鉢の茶釜ちゃがまは竹の子笠、と見ると暖麺ぬくめん蚯蚓みみずのごとし。おもんみればくちばしとがった白面のコンコンが、古蓑ふるみの裲襠うちかけで、尻尾のつまを取ってあらわれそう。
菎蒻本 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
そのくせ前々から、稲塚いなづかの蔭でジャッケと巫山戯ふざけていたっていうじゃないか。
生さぬ児 (新字新仮名) / モーリス・ルヴェル(著)
人形使 (無言のままにらむがごとく見詰めつつ、しばらくして、路傍みちばたに朽ちし稲塚いなづかの下の古縄を拾い、ぶらりと提げ、じりじりと寄る。その縄、ぶるぶると動く。)
山吹 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
おなじ場所では余り沢山たくさんには殖えないものなのであろうか知ら? 御存じの通り、稲塚いなづか稲田いなだ粟黍あわきびの実る時は、平家へいけの大軍を走らした水鳥みずどりほどの羽音はおとを立てて、畷行なわてゆき、畔行あぜゆくものを驚かす
二、三羽――十二、三羽 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)