種子しゅし)” の例文
四月のかれ草の中にねころんだ山男のゆめです。からす北斗七星ほくとしちせいといっしょに、一つの小さなこころの種子しゅしちます。
属名の Lithospermum は石の種子しゅしの意で、この属の果実が、石のようにかたい種子のように見えるから、それでこんな字を用いたものだ。
植物知識 (新字新仮名) / 牧野富太郎(著)
ともあれ、今より二百十余年前、英国に帰化したオランダの一医者が歌い出したこの一編の悪詩は、奇縁か悪縁か、後に至って正統経済学派の根本思想を産むの種子しゅしとなったものである。
貧乏物語 (新字新仮名) / 河上肇(著)
衍曰く、南に方孝孺ほうこうじゅあり、学行がくこうあるをもっきこゆ、王の旗城下に進むの日、彼必ずくだらざらんも、さいわいに之を殺したもうなかれ、之を殺したまわばすなわち天下の読書の種子しゅし絶えんと。燕王これを首肯しゅこうす。
運命 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
そこで働いている一切の力、一切の種子しゅしは何か。
今日の実習は陸稲播おかぼまきで面白おもしろかった。みんなで二うねずつやるのだ。ぼくはくいりて来て定規じょうぎをあてて播いた。種子しゅし間隔かんかくを正しくまっすぐになった時はうれしかった。
或る農学生の日誌 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
一 これは正しいものの種子しゅしゆうし、そのうつくしい発芽はつがつものである。