ひいで)” の例文
しかし、どの科目に特別ひいでるということもなかったのです。ただ、剣道部の秋の試合に示した、友の沈着な技量は僕達を驚かしました。
わが師への書 (新字新仮名) / 小山清(著)
一人は年齢ねんぱい二十二三の男、顔色は蒼味あおみ七分に土気三分、どうもよろしくないが、ひいでまゆ儼然きっとした眼付で、ズーと押徹おしとおった鼻筋、ただおしいかな口元がと尋常でないばかり。
浮雲 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
そのお連れである近衛信尹のぶただというのは、光広よりは年も十ほどは上であろう。どこか重々しい風丰ふうぼうがあり、眉もひいでているが、豊かに浅黒いその頬に薄あばたのあるのが世間並にいえばきずである。
宮本武蔵:05 風の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)