禿ちび)” の例文
登は稲田いなだと雑木林の間にある小さなみちを歩いていたが、処どころ路がれていて禿ちび駒下駄こまげたに泥があがって歩けないので、林の中に歩く処はないかと思って眼をやった。
雑木林の中 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
この禿ちびたる談理の筆をなげうち、逍遙子が驥尾きびに附いて、記實の事に從ふこと能はずといへども、逍遙子は既に沒却理想を立てたれば、これも既得大理想といふべきものにはあらざるか
柵草紙の山房論文 (旧字旧仮名) / 森鴎外(著)
書房ふみやすかさずこの船人の脇艪わきろを押す事を許されたりとて、自己おのれをして水先見よと乞うて止まねば、久しく採らぬ水茎みずぐき禿ちびたるさおやおら採り、ソラ当りますとの一言いちげん新版発兌しんぞおろしの船唄に換えて序とす。