神髄しんずい)” の例文
「半七捕物帳」に描かれた江戸の風物とあの詩情と、それに一脈のほの温かい人情味は、大衆読物の神髄しんずいに徹するものだからである。
豎子じゅし兵法を知らずといったのはそこだ。わしは坊主だが、孫呉の神髄しんずいが何だかぐらいは、じっておる。ただし、わしが引き受けるには条件がある、それを
宮本武蔵:02 地の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
水島生みずしませいが来た。社会主義しゃかいしゅぎ神髄しんずいを返えし、大英遊記だいえいゆうきを借りて往った。林の中でひろったと云って、弾痕だんこんあるつぐみを一持て来た。食う気になれぬので、楓の下に埋葬まいそう
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
軍略家、武将としてみれば、実にそこに真の孔明がある気がするし、また、政治家として彼を考えると、むしろそのほうに彼の神髄しんずいはあるのではないかという気もする。
三国志:12 篇外余録 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「無駄だ。巧言を止めろ。われも幼少から兵書を読み、孫子そんし呉子ごし神髄しんずいを書にさぐっている。別人ならば知らぬこと、この曹操がいかで汝や黄蓋ごとき者の企てに乗ろうぞ」
三国志:07 赤壁の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
いわば、智を基礎とする兵理ひょうりの学問と、しん神髄しんずいとする剣法の道との、勘の相違でござりましょう。——理からいえば、こう誘う者は、こう来なくてはならぬはずという軍学——。
宮本武蔵:07 二天の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)