神来しんらい)” の例文
時は涼秋りょうしゅうげつ、処は北海山中の無人境、篝火かがりびを焚く霜夜の天幕、まくそとには立聴くアイヌ、幕の内には隼人はやと薩摩さつま壮士おのこ神来しんらいきょうまさにおうして、歌ゆる時四絃続き、絃黙げんもくす時こえうた
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
所謂いわゆる神来しんらいの興がうちに動いて、歌にうつつかしているのは歌う声に魂のっているので分る。恐らくもうそばでお神さんや下女の聴いてることも忘れているだろう。お糸さんは最う人間のお糸さんでない。
平凡 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)