神憑かみがか)” の例文
キッと口を結んで、穴のあかんばかり、まっすぐに海を瞶めたまま、えらい混雑の中を神憑かみがかりのような足どりで波打ち際まで行進する。
キャラコさん:07 海の刷画 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
第三種(憑付ひょうふ編)狐憑きつねつき、人狐にんこ式神しきがみ狐遣きつねづかい、飯綱いづな、オサキ、犬神、狸憑たぬきつき、蛇持ち、人憑ひとつき、神憑かみがかり、魔憑まつき、天狗憑てんぐつ
妖怪学講義:02 緒言 (新字新仮名) / 井上円了(著)
泰さんははじめ新蔵から、お島婆さんがお敏へ神を下して、伺いを立てると云う事を聞いた時に、咄嗟とっさに胸に浮んだのは、その時お敏が神憑かみがかりの真似まねをして
妖婆 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
其に、志斐姥の、本式に物語りをする時の表情が、此老女の顔にも現れていた。今、当麻の語部の姥は、神憑かみがかりに入るらしく、わなわな震いはじめて居るのである。
死者の書 (新字新仮名) / 折口信夫(著)
いつでも何か事件が起ると、最初にず茫然としてしまって、放心したような状態になるが、しばらくして、その期間が過ぎると、今度はまるで神憑かみがかりになったように働き出す。
細雪:01 上巻 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
人がよく白痴を装う行者や神憑かみがかりの言うことを聴きながら、その世迷い言やぼそぼそ声に何か格別な秘かな意味を推測するときに見せる、あの柔和な甘たるい殊勝げな色が浮かんでいる。
(新字新仮名) / アントン・チェーホフ(著)
けだし、わが国の狐憑きつねつき、神憑かみがかり、魔憑き、その他たたりのごときはみな、以上述ぶる説によりて解釈しきたれり。
迷信と宗教 (新字新仮名) / 井上円了(著)
と云うのは、お島婆さんがいざ仕事にとりかかるとなると、まずその婆娑羅の大神をお敏の体に祈り下して、神憑かみがかりになったお敏の口から、一々差図を仰ぐのだそうです。
妖婆 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
これは形式張った暇乞いとまごいとは違って、この程じゅう引き揚げの準備万端のために眼の廻るような思いをし、所謂いわゆる神憑かみがかり」で働いた骨休めをかねて、久し振に姉妹四人が水入らずでくつろぎ
細雪:01 上巻 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)